あとがき

　ボトルバイオロジーとの出会いは1996年にサンフランシスコで開催されたNSTA(National Science Teachers Association)のブックストアーであった。何気なく手に取り頁をめくると、ペットボトルを組み合わせて、陸上、土中、水中の生態系を創出する手立てが紹介されており、発想のユニークさに驚きを感じた。
　実際にエコカラムを作製し、池の水や土を入れてみると、そこでは生物の生活が手に取るように観察できた。採取した池の水の中にヒドラがいたようで、アクアカラムの内壁にくっついていた。このヒドラを見るたびに場所を移動していることに驚かされたり、土の上を勇ましく歩くカニムシに感動したりして、エコカラムの魅力に取り憑かれた。当時、小学生だった娘も学校から帰ると毎日のようにエコカラムをのぞき込み、たいへん興味深そうであった。
　ボトルバイオロジーのすばらしいところは、年齢に応じて難易度を変えられることである。幼児であればアリなどの昆虫を入れるだけで手軽に観察を楽しめる。小学生になると食う食われるの関係に着目して生き物を入れるだろう。中学生だと分解者の役割を考えて生き物を入れることができるようになるだろう。本文中にも記されているが、ボトルバイオロジーの活動には誤りというものが無い。子どもが予想を立ててカラム内に生態系を創出し思考する過程が科学であり、失敗はあっても誤りではない。その過程で子どもは生態系の概念を学んでいくのである。
　本書が先生方の良い手引きとなって、子どもが科学的に探究する楽しさを味わいながら環境に配慮した行動のとれる次の世代となることに少しでも貢献できれば、訳者としてこの上ない喜びである。
　最後に翻訳を快諾していただいたウイスコンシン大学ボトルバイオロジープロジェクトの皆様と出版までご尽力いただいたインザウッズグループの小林孝太郎氏に心より感謝を申し上げる。

訳者　小林辰至・森本弘一

はじめに：ボトルの世界へようこそ

ボトルバイオロジーを成功させるには
アイコンの紹介

１．集めて、洗って、切る：ボトルの基礎
　ボトルバイオロジー道具セット
　ボトルを集める
　ラベルをはがす
　ボトルを切る
　ブロックを作る
　穴を開ける
　ボトルを組み立てる
　ボトルをぶらさげる
　ファストプランツ
　フィルムケース

２．始まりと終わりはいつ？：分解カラム
　分解カラムを組み立てる
　腐るはやさ比べ：分解実験
　腐るとはどういうこと？
　ワームのコンポスト：
　　　　ワームの力を侮ってはいけない
　ワームカラム

３．発酵によって美味しいものをつくる：キムチ
　発酵槽をつくる
　酸とアルカリ
　塩は何をするのか。キムチの浸透圧と密度の変化
　発酵への招待

４．あなたの足元で何が起こっているか：土について探求しよう
　沈殿ボトル
　土のカラム
　未知のフィルムケース：密度はどのくらいか
　栽培する土を作る：植物を育てる土の栄養の実験
　土とは何か：土の構造と保水力を調べる

５．誰が誰を食べるのか：食べる者と食べられる者のカラム
　ショウジョウバエをつかまえるためのわな
　食べる者と食べられる者のカラム
　食虫植物
　カマキリ
　クモ

６．陸と海のつながりは何か：テラアクアカラム
　テラカラム
　科学の探究図
　塩の汚染：塩は植物の成長に影響を与えるのか
　水循環カラム：雨は純粋か
　水循環カラム

７．生態系のモデル：エコカラム
　エコカラム
　ニッチェキット：すみかをつくるのは何か
　熱帯林のエコカラム：熱帯とは何か

８．吊り下げボトル
　分解カラムを吊り下げる
　テラアクアカラムを吊り下げる
　エコカラムを吊り下げる

９．フィルムケースを使った科学
　フィルムケースで発芽の実験：何が種を発芽させるのか
　フィルムケースで屈地性の実験：植物は色を好むのか
　フィルムケースでバイオアッセイ：どのくらいの量が適切か

10．庭の植物はどのように育つのか：ガーデニング
　フィルムケースのポット
　ボトル給水器
　植物の光照射箱
　ボトルキャップの庭園
　フィルムケースの庭園
　栽培バケツ

11．ボトルの器具と装置
　　 フィルムケースハンドレンズ
　　 テラリウム
　　 アクアリウム
　　 ボトル顕微鏡
　　 フィルムケース顕微鏡
　　 ボトル天秤
　　 ボトルタイマー
　　 ピンセット
　　 ボトルじょうろ
　　 目盛りをつけたシリンダーとロウト
　　 フィルムケース懐中電灯
　　 より糸ディスペンサー

　索引

●ご購入はこちらから >>

お問合せは、『ファストプランツ』アジア・太平洋地域総代理店のIn The Wood.インザウッズまで。

インザウッズ
ファストプランツ（Fast Plants(TM)）
アジア太平洋地域公認日本総代理店
ファストプランツ日本事務局