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変異
あなたがファストプランツを育てたとき、あるグループ内で一つ一つの植物の間で違い(変異)があることに気づくでしょう。変異は小さなものから大きなものまであるでしょう。この記事は、これら植物の間で見られる変異についての基礎的事柄を理解する上で、先生や生徒さん達の手助けとなるように作られています。
変異とは生命の基本的な性質の一つです。全ての生物は、個体間である変異を示します。変異が生物に現れる仕方、個体の発達を通してどのように現れ、そして一個体から次の世代の個体にどのように伝えられるかを理解することは、生物学の中心課題になっています。
ファストプランツを使った研究は、生徒さん達の変異に対する理解を深めるでしょう。ファツストプランツの生活環の各段階を通じてその成長と発達を観察することで、生徒さん達は、生物を成り立たせている多くの目に見える姿、或いは表現型に気づくでしょう。
しかし、生徒たち達は植物の集団を詳しく観察することで、一つの植物で観察された特徴が、ほかの植物では多少違っていることに気づくでしょう。このような違いが変異の本質なのです。
表現型の変異
表現型の変異、例えば発育のある特定の時期での植物の背丈は、その個体のもつ遺伝的素質(遺伝型)が、環境との相互作用を通して表現されたと考えることができるでしょう。だから、一つの集団の中での個々の個体間で見られる草丈の変異は、遺伝子型と環境の相互作用で現れる変異であり、それが個々の植物個体の発育とともに現れるのである。
図1は相互関係を表し、生徒達が一人一人育てたファストプランツ(TM)の間で観察される変異を基礎にして探ることができる、多くの実験のアイデアを与えてくれるものと思います。
表現型の変異を記述し観察すること
一つのある実験で表現型を有効に使ようにするためには、表現型は多くの人が理解でき、簡単に理解できるような言葉で記述されなければなりません。このことから、科学者は自然界の特徴を記述するために、色々な基準や、表現法を統一してきました。表現法には、WFPID
Observing and Describingに見られるように多くの形式があります。あなたが観察したことをどのように表現するかは重要です。というのは、そのことで使われる表現法が決定されて、記録し、分析し、それの結果を伝える基本が決まってしまうからです。
環境による変異
一つ以上の環境因子を変化させた実験をすれば、植物の発育に及ぼす光、温度、そして栄養の役割について多くのことを学ぶことができます。ファストプランツ(TM)は環境の変化に大変敏感なので、表現型の発現に対する環境の役割を調べるのに理想的な材料です。
ファストプランツ(TM)は様々な環境条件で育てることができるのですが、多くの研究者に対しては、一定の理想的な条件で栽培することを推奨しています。これは、環境条件が最適とはいえない場合に生ずる変異を最小限にするためです。Wisconsin
Fast Plants Information Document(WFPID)のUnderstanding Environmentでは、ファツストプランツ(TM)を育てるのに最適の環境として、色々な物理的、化学的また生物的要素をどのように与え、維持することがいいかを提供しています。
遺伝子型の変化
生徒さん達はファストプランツ(TM)をどのように使えば、遺伝子型が表現型に寄与していることを学ぶことができるでしょうか?生活環の早いBrassica
rapaであるファストプランツ(TM)は、自家受精を妨げそして個体間での他家受精を好むように、遺伝的に制御された受精機構を持っているが、遺伝子型は変異しやすい。その結果、ある特定の表現型や遺伝子型がそろった種を選別してストックしても、他の形質については著しい変異が生ずることになります。
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ロゼット、矮性、基本型、伸びた胚軸 |
ウィスコンシンファストプランツ(TM)プログラムでは、変異の本質と遺伝を遺伝学的に研究するために、早い生活環をもつBrassica rapaの多くの遺伝的ストックを開発してきました。WFPのストックには、アントシアンニン欠失株であるanl、黄緑色の株であるygr1、ロゼットの株であるros、そして雄性不稔株であるmst2、などメンデル遺伝することが明らかに区別できる表現型を持つ株を収集しています。
他のファストプランツのストックは、発現が連続的に変化するかもしれないが、離散的或は数えることのできる単位で定量できる表現型、例えば毛の数のようなものや、大きさで表されるような形質である矮性の小さな植物のようなものや、また、色彩の彩度のような表現型である紫のアントシアンニンのようなものがあります。これらの量的表現型は数個から沢山の遺伝子により制御されている可能性があり、そして普通それは集団の大きさ(n)、範囲(r)、算術平均値(x)、そして標準偏差(s)の統計的な概念での表現が要求されます。
しかし、他のストックは単純に遺伝する突然変異の遺伝子型や量的に現れる表現型を組み合わせたものとして開発されてきています。WFPの重要な役割は、遺伝学で使える種子ストックの継続した開発と、種子の貯蔵の改善にあります。
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