「ファストプランツで学ぶ植物の世界」

    教育用モデル植物ファストプランツ日本語版




日本の皆様へ

 日本の学校の先生方、学生、そしてそのご家族の方々が、ファストプランツ<成育が早く直ぐに種をつけるアブラナ科の植物>を使うことで、皆さんを素晴らしい科学の世界へ誘うことができれば、私にとってこの上ない喜びであり、また大きな満足感を感じます。
 今から何年も前のことですが、私がアブラナ科の野菜の病気に対する抵抗性がどのように生ずるのかを研究し始めたころから、アブラナ科の植物が、日本人の生活の中で広い用途に利用されてきた、大変重要な植物であることをよく知っておりました。植物科学者や植物育種家、そして種苗会社の人たちが、アブラナ科の植物を人間に役立つように改良する研究の道具として利用できるように、私は成育の早いファストプランツを開発しました。しかし、その当時この“ファストプランツ”と名付けられたアブラナが全ての学年(幼稚園から大学まで)の先生や生徒達を、科学的探究の興奮の中に引き込むことになろうとは思ってもいませんでした。
 今では、アメリカ合衆国やそのほか多数の国の学校の教室で、生徒はファストプランツを使った科学的研究に興じています。日本でも、きっとファストプランツは非常に優れた教育材料となると信じています。と言いますのは、信じられないかもしれませんが、ファストプランツは、小松菜、如月菜(タアサイ)、水菜、山東菜、大野菜、チンゲンサイ、ナタネ(カノーラ)、カプラなど、日本では普通の食べ物となっている植物と同じアブラナ科に属しています。
 これから日本で生徒達が“ファストプランツ”を使うようになれば、たくさんの興味ある研究課題が考えられますが、その中の一つに、“たくさんの異なる種類のアブラナ科の野菜が全てファストプランツと植物学的に同じ種類の植物だとどうして言えるのだろうか”という課題があるでしょう。
 また、植物の種がどのように分化してきたのかというテーマに対して、たくさんの面白そうな実験が学校でも自宅でもできそうです。例えば、次のようなテーマが考えられます。日本の古い園芸の歴史の中で、野菜、食品、漬け物、植物油、動物の飼料など、現在使われているいろいろな種類のアブラナ科の植物を作ったのは、いったい誰なのでしょうか、またその栽培を始めたのは誰なのでしょうか、またさらに、それはどのようにして実現できたのでしょうか。
 これらの研究で答えが見つかれば、日本の学校の生徒の間で、色々な新しい話がもちあがり、そしてその話は世界中のファストプランツを扱う学生に伝わり広まっていくでしょう。このようにファストプランツを使うことで、先生と生徒が一緒になって、学習を楽しむことができるようになるでしょう。
 私は、日本の教育界での“ファストプランツ”の持つ潜在的重要性に目を向け、そしてその可能性に期待を掛け、このたび“ファストプランツ”のテキストを日本語に翻訳されたインザウッズグループ関係者に敬意を表します。

ウィスコンシン大学名誉教授
Paul H. Williams


目次

はじめに

 生命のらせん
   −ファストプランツで学ぶ植物の生命活動ー
 
 おもな観察と実験の内容

 ファストプランツの生活環

 ファストプランツの成長曲線

 栽培の日程

1章 種子の発芽

 種子発芽の観察
 
 種子の吸水と膨潤

 種子の解剖

 は種:種子のどっちが上側か?

2章 芽生えの成長と発達
 
 個体間の変異の追跡
 
 胚軸はどっちむきに伸びるか?

3章 開花

 最初に咲く花
 
 らせん状に咲く花
 
 花の中はどうなっているか?

 花のかたち(花図式)

 ブドウ糖の検出

 

4章 受粉

 ミツバチとミツバチ受粉棒

 受粉をやってみよう

 花粉の発芽

5章 受精から種子ができるまで

 胚形成−何が、いつ、どこでおきるか?

おわりに

付録

 付録1 ファストプランツの栽培法
 付録2 データを統計的に取り扱う方法
 付録3 フィルムの空き缶で作るルーペ
 付録4 手作りの‘ものさし’と拡大倍率の計算
 付録5 ファストプランツの授業の実践例
     L先生担任の9年生の授業
     H先生担任の9年生の授業
     B先生担任の7年生の授業
 付録6 科学教育の基準

用語集 


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インザウッズ
ファストプランツ(Fast Plants(TM))
アジア太平洋地域公認日本総代理店
ファストプランツ日本事務局

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