【ご紹介】メンデルの遺伝実験&ミニPCR研究発表 第104回日本生物教育学会全国大会(旭川) 

104回日本生物教育学会全国大会(旭川) メンデル遺伝&ミニPCR研究発表のご紹介です

【要旨集 一部抜粋】

現行の学習指導要領からメンデル遺伝を中学校理科で扱うようになり、高等学校の生物基礎および生物では遺伝子の発現やバイオテクノロジーに重点が置かれるようになった。これによって、遺伝学の古典であるメンデル遺伝とバイオテクノロジーの間には理解の溝ができている。バイオテクノロジーが進歩するなか、次世代を担う生徒のサイエンスリテラシー向上が求められているが、それには基礎的な「遺伝学」の理解が必要である。そこで、本研究ではモデル植物としてFast Plantsを用いた交配実験を行い、miniPCRによる遺伝子の組み合わせの変化を可視化することで、メンデルの遺伝の法則を再発見する体験型学習を検証した。<中略>

今回検証する一連の学習では、メンデル遺伝だけでなく、バイオテクノロジーの基本であるPCR法と電気泳動の原理を理解することもできる。遺伝子の機能について理解を深めるためには、表現型に基づき推定された遺伝子型の変化を根拠示して説明できることが重要であるが、中・高の教科書の説明だけでは、生徒は遺伝の本質を十分に理解できていない。遺伝学の古典であるメンデル遺伝と、分子生物学の要であるPCR法という新旧の科学を融合した実践的な授業により「表現型と遺伝子型」、さらには塩基配列との関係性についてより深い理解につなげることが期待できる。

なおファストプランツジャパンでは、今回研究発表で紹介されたミニPCR機器について、近い将来、日本国内において販売を予定しています。学校教育機関等の皆さまには今しばらくお時間をいただければ幸いです。

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  現行教育課程の「生物基礎」では,メンデル遺伝は一切扱わなくても良いことになっている。

  現に、多くの教科書で「メンデル」の名前が載っていない。

  その代わり、ゲノムや遺伝子の発現など分子生物学的な内容を多く取り扱うようになっている。

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  「例えば、メンデルの交配実験の結果を分析して解釈し」とあるので、大方はメンデル遺伝を元に遺伝を学ぶ。

  しかし、高校生物基礎ではその補強はなく、中学校理科を終えたら多くの生徒は遺伝を学ばなくなってしまう。

  そのため、メンデル=3:1という数字のみが残り遺伝という現象そのものは何一つ残らない。

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  「交配実験の結果などの資料に基づいて」とあり、あくまで思考実験の域を脱することはない。

  科学の本質として、「自分の目で確かめる」という「実験」が重要なのであればメンデル遺伝

  も実物教育を行うことが必要なのではないか?

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  あくまで「交配のモデル実験」を行うことにとどまり、実際の植物の生殖を観察した上で「遺伝」

  を取り扱っていない

  このような授業で「探究の過程を振り返らせる」ことができるのだろうか?

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  エンドウ豆を用いたメンデルの実験をそのまま追試することは難しいが、FPならば時間的・

  空間的制約を取り払い、実際にメンデルの行った「探究の過程を振り返る」ことができる

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  メンデル遺伝が削られたことにより、多くの時間を割くようになった分子生物学的分野の学習

  内容にも、多くの課題が残っている。

  それは、実験を行うことが難しいことと、板書や教科書の図を用いた教室の授業のみでは、

  この分野はイメージが全くわかないことである。

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  「資料を示し、その原理と有用性を理解させることなどが考えられる。」とあるが、資料だけ

  では、その仕組みは到底理解できず、興味もわかないのが現状である。

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  一番初歩であるPCR法ですら、数十万円単位の予算が必要となる。

  また、実験も複雑で、対応できる教員が少ないのも課題である。

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  上記、課題点を解決するためにも2つの教材を紹介する。

  この研究発表の経緯としては、まずminiPCRを取得したことから始まる。

  そしてこの機械を授業に活用するための題材を探していたところ、発売元が教育リソース

  として公開していた授業実例にFPを用いた遺伝の実験キットがあった。

  しかし、種子や試薬類などは直接輸入できないので、代理店を通じFPを手に入れ、改めて

  日本国内で実験するための試薬類や手順を探ることにした。本発表では①FPと②miniPCRの

  二つを融合して、実験に応用することで実際の教育現場でどれほどのシナジー効果があるのか、

  その可能性を検証した。

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  FPは栽培も容易で、条件を整えれば室内で一年中栽培可能。

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  LEDは4本、4000〜5000Lx、24時点灯している。冬場は、ペット用のヒーターマットで加温してある。

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  EmeraldAmapΙ®MAX PCR Master Mix  (タカラバイオ) (=1 サンプルおよそ50円位)でコストパフォーマンスがいい

  KAPA2G Fast HotStart ReadyMix with dye  (日本ジェネティクス)(=1サンプルおよそ50円位)でコストパフォーマンスがいい

  ※どちらもBuffer,dNTP,dye入りで手間が省ける。

  ※精度も良いので増幅確認だけなら十分である。

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     (表現型の観察)生育しても、個体差がまちまちで、同じ紫形質の個体でもホモとヘテロが見分けられない。

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